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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 選挙に必要なバランス=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年12月03日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論

選挙に必要なバランス
アベノミクスとアベイズム
湯浅誠 社会活動家

 選挙が始まった。
 安倍晋三首相は、今回の解散を「アベノミクス解散」と名づけ、アベノミクスの是非を争点に掲げている。急な解散で慌てた野党は、争点を絞り込めていないようだ。
 世論調査を見ると、多くの人が、安倍首相の靖国神社参拝に象徴される国家主義の側面に戸惑っている。それを「アベノミクス」に倣って「アベイズム」と呼んでみる。
 安倍首相は右手にアベノミクス、左手にアベイズムを握っている。盛り上がりきらない中国市場における日系企業の状況を見れば、経済をうたう右手より、さらにチカラがこもっているのは左手のアベイズムのほうなのだろう。しかし、それはアベノミクスほどには人気がなく、自民党に絶対安定多数の議席をもたらさない。
 ゆえに安倍首相は、ぎゅっと握った左手は下ろしたまま、右手のアベノミクスを高らかに掲げて言う。「この道しかない」と。
 実績ベースで言えば、行き過ぎたとはいえ円安・株高を実現し、各種の指標には改善傾向の見られるものも多い。現実を動かす力量は認めざるを得ない。野党はいろいろ言っているが、やはり実現力においてまだちょっと頼りない。--政権や政党の支持率を見るかぎり、多くの人はそう感じているように見える。
 アベノミクスは、円安・株高と引き換えに格差拡大をもたらすだろう。政府もそれがわかっているから、賃上げを要請している。10年前の小泉改革との違いだ。主要閣僚がこぞって賃上げを唱えるなど、当時は考えられなかった。
 しかし、限界があることもはっきりしている。戦前の統制経済のように国家が経済に介入することはできない。祖父、岸信介元首相の時代とは違う。ここでも、左手は辛抱を迫られる。一部で「暴走」とも言われる安倍首相だが、本人にしてみれば、我慢に我慢を重ねた2年間でもあったのではないか。
 今回の選挙で再び大勝すれば、安倍首相はその実現力でアベイズムのほうも進めるだろう。奇跡的な復活で首相に返り咲いて、次が第3次政権。まだ60歳と政治家としてはお若いが、第4次があったとしても現在ほどの好条件がそろう見込みは低い。ラストでベストのタイミングとも言える。「政治はモメンタム(勢い)」が、安倍首相の口癖でもある。
 そう想像すると少し怖くも感じる。気づいてみたら大変なことになっていたという経験を私たちは持っている。できれば、バランスは利かせておきたい。
第47回衆院選 先月21日の衆議院解散に伴う選挙。14日投開票が行われる。阿部晋三首相は自らの経済政策「アベノミクス」の是非を争点に掲げた。公明党の山口那津男代表も「デフレ脱却推進解散」とした。野党は「大義なき解散」(民主党の枝野幸男幹事長)、「経済失政解散」(維新の党の江田憲司共同代表)などと批判している。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 選挙に必要なバランス=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年12月03日(水)付。

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