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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 本物の『成長戦略』とは 赤穂浪士の考現学=宮武剛」、『毎日新聞』2014年12月10日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
本物の「成長戦略」とは
赤穂浪士の考現学
宮武剛 目白大大学院客員教授

 唐突な解散の末、総選挙の投票日は14日に迫った。ちょうど赤穂浪士討ち入りの日に重なる(元禄15年)。単なる偶然だが、あの四十七士は、年齢や経歴で現在に通じる意義がある。
 最年長の堀部弥兵衛の77歳。高田馬場でのあだ討ちで名を上げた「飲んべえ安」こと中山安兵衛にほれ込み、娘の婿にしたガンコじいさんである。
 次いで69歳の間喜兵衛ら60代は5人、50代も4人。「人生50年」の当時を考え、50歳以上線引きをすれば、高齢化率21%強の高齢集団であった。
 指導者の大石内蔵助は45歳の男盛りで40代は6人、30代16人、20代13人、10代2人。
 老年の知恵と経験、壮年・青年の意気と活力がからみ合う構成でもあった(年齢は後述の寺坂を除いて享年、大目付の仙石久尚調査書等から引用)。
 家老の大石を筆頭に奉行や足軽頭もいたが、むしろ身分や禄高の低い同志が目立つ。
 大石の息子・主税をはじめ「部屋住み」が8人もいた。現代風にいえば定職のないフリーターである。足軽の寺坂吉右衛門や5両3人扶持の神埼与五郎らの軽輩も加わった。いわば現在の非正規労働者に似ている。
 あだ討ちを奨励する気は毛頭ないが、年齢や身分を超え、平等に結束した集団から何を学ぶべきなのか。
 もう「人生80年」の時代になって久しい。
 「何歳から老後?」との問いに「70歳から」が最多の32%で「65歳から」の28・6%を上回る。特に65歳以上の回答者では「70歳から」40・4%、「75歳から」20・2%。「何歳まで働きたいか?」も65歳以上では「70歳まで」が最多の21・2%に上る(2012年高齢期における社会保障に関する意識等調査)。
 現在の堀部弥兵衛は無数にいるのだ。その一方で、若者たちはどうか。
 65歳以上のいる世帯のうち3世代同居は1986年の44・8%から13年には13・2%に落ち込んだ。ただし、65歳以上で「配偶者のいない子と同居」は同じ期間に17・6%から26・1%へ逆に増えた。"結婚しない症候群"の広がりである、
 「仕事あり」のうち20代前半では33・2%、20代後半でも17・2%は非正規労働者だ(13年国民生活基礎調査)。年収200万円未満の現代版「部屋住み」では、"結婚できない症候群"も広がる。
 男女を問わず、同じ仕事なら同じ待遇と社会保障の支えを得られる、若いカップルが働きながら子育てができる、意欲があれば年齢に関係なく働ける社会でありたい。
 その地道な社会改造こそ本物の「成長戦略」ではないか。
社会保障に関する意識等調査 老後の生活感や社会保障のあり方を問う厚生労働省の調査(回答約1・1万人)。重要なのは「老後の所得保障(年金)」「高齢者医療や介護」「医療保険・医療提供体制」の順(複数回答)。世代別では30-39歳は「子ども・子育て支援」、29歳以下は「雇用の確保や失業対策」が1位だった。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 本物の『成長戦略』とは 赤穂浪士の考現学=宮武剛」、『毎日新聞』2014年12月10日(水)付。

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