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覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 福祉国家を支える教育=本田宏」、『毎日新聞』2014年12月24日(水)付。


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くらしの明日
私の社会保障論
福祉国家を支える教育
最低の投票率だった衆院選
本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐

 今月14日に実施された第47回衆院選の投票率は戦後最低の52・66%となった。今回の総選挙は、安倍晋三首相が掲げる経済政策「アベノミクス」だけではなく、原発再稼働や特定秘密保護法、集団的自衛権など、過去の総選挙と比較にならないほど日本の招来の進路を決定付ける多くの争点を抱えていたはずだ。しかし国民の関心は低く、与党が再び全体の3分の2を超える326議席を得た。
 昨年9月に国連が発表した世界幸福度報告書によると、富裕度や健康度などを総合評価した幸福度の国別ランキングで超福祉国家とされるデンマークが1位だったのに対し、日本は43位と低迷した。医療や福祉、介護の分野で世界をリードするデンマークの国政選挙の投票率は88%と世界のトップクラスで、未曾有の超高齢社会目前に医療や介護に問題を積み残したまま放置する日本とは比較にならない高さだ。
 先日、知人からデンマークの初等教育の話を聞いて驚いた。授業で近くの川に建設された橋を見学しながら、橋の両岸の住民が建設時に戦わせた議論の内容、建設時やその後の維持にかかる経費などを学んでいたというのだ。
 デンマークの教育はどうなっているのか。「デンマークが超福祉大国になったこれだけの理由」(合同出版)を読み、目からウロコが落ちた。デンマークでは憲法で「全ての子どもはフォルケスコーレ(公立学校)で義務教育を無料で受ける権利がある」と定める。「学校での教育や日常生活は自由な精神、平等、民主主義の上に成り立つものでなければならない」として教科書も授業方法も国から制約を受けない。
 1年生から「教育、職業、労働市場の知識」という科目が必修とされ、1年生から3年生で日常生活やクラスの体験を題材に討論する。例えば、選挙をテーマに多数決の意味や、自分の意見を伝え、相手の意見を聞いて合意を見いだすことの意義を学ぶ。4年生から7年生になると地元での神学や就職の可能性、若者が働く環境や権利などについて討論し、メディアからの情報収集の方法、メディアリテラシー教育もある。
 このように超福祉大国デンマークでは、初等教育から民主主義やメディア情報の収集の仕方を教育している。一方、検定を受けた教科書を使い、偏差値重視で全国共通試験の優劣や有名校入学者数を競い合っているのが日本の教育の現状だ。
 日本の命運を決めると言っても過言でない今回の総選挙の投票率がわずか半分程度の日本。改めて服し、社会保障充実を目指す者として、日本が最初に見直すべきなのは、教育ではないかと痛感させられた。
世界幸福度報告書 国連が2012年から公表する国別幸福度調査。1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、社会的支援などの要素を考慮して推定。13年はデンマーク、ノルウェー、スイスなど欧州各国が上位を占めた。
    --「くらしの明日 私の社会保障論 福祉国家を支える教育=本田宏」、『毎日新聞』2014年12月24日(水)付。

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[http://www.huffingtonpost.jp/kenji-sekine/post_6096_b_4237432.html:title]


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