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日記:自らの言説を飾り立てるために死者を都合良く利用する有象無象たち


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選挙期間中に、中山なりあき氏(次世代の党・落選)が次のようなツイートを投下していてぶったまげた。曰わく

遊説中、高倉健さんの出身地中間市を通った。菅原文太さんも亡くなった。どちらも男臭さを売り物にしていたが、考え方は全く違った。健さんは文化勲章受賞の時、日本人に生まれて良かったと述懐した。文太さんは言わないだろう。水間政憲さんや小名木善行さんの本を読んでほしいと思う芸能人は多い。
( https://twitter.com/nakayamanariaki/status/541713977521078272 )

高倉健さんをあたかも国士の如く持ち上げ、菅原文太さんをdisっていたご様子。死者を都合よく利用するその心根、どんだけ下衆いんやろう。水間政憲なんか、健さんが読むわけないでしょうに。ほんま、たいがいやなと思いましたので、有名なエピソードですけど、『朝日新聞』のコラムを貼っておきます。


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風 北京から:高倉健さん死去 日中を結びつけた存在感 古谷浩一

 それは1978年の冬のことだった。

 中国・四川省の小さな街の講堂は、高倉健さん主演の映画「君よ憤怒の河を渉(わた)れ」を見に来た1千人を超える人々の熱気にむせ返っていた。両親に連れられ、その場にいた小学5年生の少女だった北京師範大学副教授の林濤さん(46)は、そのときの「衝撃」を鮮明に覚えている。

 「とっても興奮しました。音楽も画面も、それまでの映画とは違って、すごく新鮮だったんです」

 健さんが演じる検察官が、殺人などの無実の罪を着せられ、逃亡するなかで恋や冒険をし、最後は権力者の陰謀に打ち勝つという痛快なアクション劇である。

 文化大革命時代、政治に翻弄(ほんろう)され、冤罪(えんざい)に苦しんだ中国の多くの人々は、自らのつらい経験を重ねて健さんを見た。その姿は、大声で政治スローガンが叫ばれるプロパガンダ映画の主人公とは全く違った。寡黙に正義を貫く男、健さんは、中国各地で熱狂的に受け入れられた。

 それはまた、多くの中国人にとって、初めて目にする日本でもあった。10年にわたって続いた文化大革命の時代、西側の外国映画が上映されることはなかったからだ。

 中国はまだ、とても貧しかった。映画のなかの日本の繁栄は、驚きとしか言いようがなかったそうだ。

 日本と中国が平和友好条約を締結したのも同じ年である。今とは比べものにならないくらい良好な両国関係のなか、林さんは、北京の大学の日本語学科に進んだ。

 「当時は日本語を学ぶことを、とても誇りに思いました。実家で家族に日本語を話してみせると、みんな意味も分からないのに大喜びでした」。林さんはそう懐かしそうに話した。

 健さんと交友のあった北京映画学院の張会軍校長は、日中関係に及ぼした前向きな影響について、「彼が映画文化人として果たした役割は、在中国日本大使館よりも大きいかも。軍の数個兵団分に匹敵するものじゃないかな」と笑みを浮かべて私に話した。

 中国共産党の高官のなかにも、健さんのファンは少なくない。ある高官は毎年、健さんから手書きの手紙をもらい、喜んでいたそうだ。また、中国を代表する著名な学者が、ひそかに銀座で健さんと食事をするような仲だったとの話も聞いた。

 健さん自身も、中国の友人たちとの関係を大切にしていたようだ。何度も訪中し、映画も撮影している。

 死去が報じられた後、北京では追悼上映会が開かれた。会場は工事中の商業施設の一角にある喫茶店。映画を見終わった後、40歳の男性会社員が立ち上がり、その場の若者たちに向かって言った。

 「この映画は、日本ではたくさんある高倉健の映画の一つだ。でも、中国人には特別な意味があったんだ」

 多くの中国人にとって、健さんは単なる映画スターではなかった。暗い時代から改革開放へと向かう中国社会の変化の興奮を、記憶にくっきりと刻むシンボルのような存在だったのだ、と私は思う。

 「中国人が健さんを失った喪失感は、日本人よりも大きいのではないか」。中国で上映された日本映画を研究してきた早稲田大非常勤講師の劉文兵さんは言う。

 中国の人々にそこまで深く愛された健さんに、改めて敬意を表したい。

 (中国総局長)
    --「高倉健さん死去 日中を結びつけた存在感」『朝日新聞』2014年12月14日(日)付。

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[http://www.asahi.com/articles/DA3S11506335.html:title]


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