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覚え書:「茶色の朝」は、すでに来ています。

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ファシズム的状況に抗する
 --フランスで刊行された反ファシズムの寓話『茶色の朝』日本語版の解説で、高橋さんは「だれもがもっている怠慢、臆病、自己保身、他者への無関心といった日常的な態度の積み重ねが、ファシズムや全体主義を成立させる重要な要因」と指摘されています。

高橋 「茶色の朝」は、すでに来ています。安倍政権のもとで急激に進められている日本社会のファッショ化は、すでに深刻な状況であることを、繰り返し指摘したいと思います。
 安倍晋三氏は、平然と虚偽を述べることのできる政治家です。福島の状況が「コントロールされている」と国際社会で述べたこともそうですが、最近では、各紙が安倍側近の発言をもとに報道した「撃ち方やめ」発言に対して、「朝日新聞の捏造」だと事実を捏造しています。
 私が安倍晋三という政治家に不信感を抱いたきっかけは、女性国際戦犯法廷について、当時官房副長官だった安倍晋三氏が、関係者であれば誰もがすぐにわかるようないくつかのウソをテレビなどで公然と述べたことでした。たとえば、女性国際戦犯法廷は「謀略」であり、「拉致問題が問題化しているなかで、北朝鮮を被害者の立場にすることで、この問題の鎮静化」をはかるという「大きな工作の中の一部を担っていた」と発言しています。しかし、女性国際戦犯法廷は拉致事件が表面化する二〇〇二年の日朝首脳会談より以前の二〇〇〇年に開催されているのですから、これは明白な虚偽です。
 権力者は当然のことながらジャーナリズムの監視を受けなければなりません。それを拒めるのは独裁国家だけです。民主主義国家の為政者であれば監視や批判を当然のこととして受け入れなければならないでしょう。しかし安倍氏は批判に耐えることができない。むしろ逆ギレしてフェイスブックなども使って攻撃を繰り返しています。日本の歴代の政治指導者の中で得異な存在だと言えるでしょう。
 カール・シュミットというナチに翼賛したドイツの政治思想家は、政治の本質は友と敵を峻別することにあると述べていますが、安倍首相は友とみれば偏愛し、敵と見なしたものには攻撃をつづけます。そういう意味でもファシズムに親和的な性質を持っていると言えるでしょう。
 これに対してジャーナリズムが萎縮してしまうのでは話になりません。むしろその本質を見抜いて、覚悟をもって批判的スタンスを維持しなければなりません。
 安倍政権はメディア・コントロールへの強い欲求を露わにしています。秘密保護法の制定や、マスコミ各社の幹部との度重なる会食などはその象徴です。安倍首相が靖国神社に参拝した二〇一三年一二月二六日の夜、新聞各社の政治部長たちと会食をしていたことが翌日の首相動静で明らかになっています。メディア・コントロールに取り込まれることを拒めるのか、政権との距離を保って権力の監視という役割を貫けるのか、まさに正念場の中の正念場だと思います。
    --「インタビュー:極右化する政治 戦後七〇年という岐路を前に=高橋哲哉」、『世界』岩波書店、2015年1月、159-160頁。

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