覚え書:「河北春秋:当たり前に享受している投票権は、民主主義を追い求める闘いの末に勝ち取られている」『河北新報』2015年02月06日(金)付。
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宮城県出身の政治学者吉野作造は、普通選挙実現の運動を推し進めた。腰の重い政府の尻をたたかんばかりの論文の数である。論拠は明快、選挙権は国民固有の権利と断じてぶれがない。1920(大正9)年の論文は語る
▼「昔は王侯が国家を領していたとしても、いまは全ての人がそれぞれ積極的な分担を負い、ともに経営している。独立人格を持つのは明白で、法律以前から国民固有の権利として在ることに一点の疑いもない」。5年後、加藤高明内閣によって普通選挙法が制定される▼高額税を納める富裕層だけから全ての男性へ。女性に広がるには平塚雷鳥や市川房枝による活動を経て、終戦まで待たなくてはならない。当たり前に享受している投票権は、民主主義を追い求める闘いの末に勝ち取られている
▼国民の権利たる選挙の信頼が揺らぐ。仙台市の青葉区選管に端を発した一連の不正は、過去にも宮城野区や若林区で集計ミス、保管すべき記録の廃棄など広がりを見せる▼昨年末は突然の衆院解散で準備がいまひとつ…の弁明をそのまま受け取る人はいまい。関わった職員がどれだけいるのか、上司である役職者の監督責任をどう問うのか、市民感覚からすれば曖昧(あいまい)に映る。よくある行政事務の誤りと根本から違うと心すべきである。
--「河北春秋:当たり前に享受している投票権は、民主主義を追い求める闘いの末に勝ち取られている」『河北新報』2015年02月06日(金)付。
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