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日記:良質な学問的積み重ねをあざ笑い、ナイーブな個人の趣向がそれを書き換えていく


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ナチス・ドイツにガス室はなかったという噴飯ものの話を歴史修正主義という。その意味では、朝日誤報問題以降、ますますその勢いが強くなっていると感じる。

強制性を根拠付ける報道が誤報だから根拠が無いというロジックですが、そもそもまっとうな歴史学は、吉田証言を「根拠」に「強制性」を認めるわけでなく、新聞の誤報でその論拠が崩れるといった安易なものではない。

しかし、政治家の発言に目を向けると、「強制性」がなかったというところからもう一度ジャンプして、そもそも従軍慰安婦などいなかったという幻論という新しく変態していることに驚く。

そして2月に今度は、『産経新聞』が南京大虐殺そのものがなかったというキャンペーンを展開。これまでその数字をどこに置くのかという議論などものともせず、ご乱心に踊ろた。

しかし、驚くのはその2つの事件にとどまらない。今度は、『日本書紀』の記述は「歴史的事実」という珍説まで飛び出してきた。

この段階になってくると、もはや歴史修正主義などといった甘っちょろいものではない。修正を飛び越え、神話の歴史化が21世紀に始まってしまったことに驚愕している。

知性と感情の絶えざる劣化の末とはいえ、良質な学問的積み重ねをあざ笑い、ナイーブな個人の趣向がそれを書き換えていくことに戦慄しなければならない。


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